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活動報告

卒業生の活躍(2期生 高原さん)


未来共生プログラムの卒業生である高原耕平さん(2期生)から近況報告です。高原さんは未来共生プログラムに2期生として加わり、災害の記憶についての研究やその他様々な活動をされてきました。このたび、近況の報告をお願いしたところ快く引き受けてくださいました。以下、高原さんからです。

近況報告

[写真1]宮前先生と大門さんとアメリカにゆく
[写真2]小泉さんと松本さんと沖縄にゆくとヤギがいる

みなさん、お元気ですか。わたしは元気です、残念だったな。2期生として2019年3月に未来共生プログラムと文学研究科を退院し、4月から「人と防災未来センター」の研究員として勤めています。センターは阪神大震災をバネに設立された防災研究機関(兼ミュージアム)です。常勤の研究員が9名在籍していて、それぞれ分野もテーマも違っているので楽しいと感じます。日中は職場の事業や共同研究に関する作業にバタバタして、陽が沈んだら自分のための読み書きをするような生活です。大きな地震や水害が起きると、被災地自治体の災害対応の支援をします。昨年度は佐賀県水害、台風19号水害、今年度は九州北部水害に派遣されました。何ができるんだろう、何をすべきだろうと被災地への行き帰りでちまちま考えます。何もできないよと退くことはできず、これをやればいいと断言することもできず、新しい経験をクローゼットに吊るす暇を探しているうちにコロナが来ました。

何が起きるか予測できない仕事ですが、いまのところ、思考と態度を狭めずに出来事を受け止めることができているという実感があります。腕をおおきく広げてキャッチするようなイメージでしょうか。いまふりかえると、未来共生で手当たり次第に本を読み、あちこち出かけては失敗し、履修生や教員とコトコト議論していたという体験は、腕をぐうっと広げる姿勢を保つのに効いているようです。とくに防災はあらゆる学問分野や伝統や課題がつながってくる世界です。自分の専門分野ではないので知りませんと通り過ぎることが許されず、雑多なハウツー知識ではすぐに弾切れになります。事態を広く深く捉えて危機の焦点を細やかに絞り込むことが必要とされます。

これからやりたいことは、大学院で研究した〈災害の記憶論〉と、いまの職場で見つけた〈減災社会の技術論〉が交わる部分を探すことです。その探索は、人間にとって「災い」とはなにかという問いに導かれています。そこに着手するために、自然と偶然と必然の関係を考えることが必要だと考えています。自然は、偶然と必然の地平です。技術は必然の相において自然から時間を引きずり出します。記憶は偶然の相において人間に時間を発見させ、それを自然へ戻すよう差し向けます。わたしたちの困難は、その交わりを力のもとで解釈しようとすることにあります。力によって人間は災いのなかへかき消されてしまいます。力とは別の理解の仕方があるはずなのです。そういうことを考えています。ではまた、お元気で。

(2020年7月28日, 高原)

 
 
 
 
 

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