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活動報告

海外インターン:インドネシア


海外インターンシップのご報告です。未来共生プログラムでは3年次に半年ほど様々な国でNGO、NPO、学校の公的組織でインターンとして活動します。中川佳保さん[言語文化研究科・博士後期課程2年]はインドネシアの学校で活動しました。以下、中川佳保さんからです。

他者への寛容さと自己確立

[写真1]授業の様子
[写真2]クンドゥーリ・クバンサアン前日のリハーサル

今回、わたしは、インドネシアのアチェ州にあるスクマバンサ学校(Sekolah Sukma Bangsa)で活動しました。この学校は、アチェ州内に3つの校舎をもち、いずれの校舎にも小学校部・中学校部・高等学校部を擁する私立学校です。2004年のスマトラ沖地震や、地震をきっかけに終結した政治紛争の被害にあった子どもたちのために、スクマ財団が全国から寄付を募って建てました。現在では、長らく紛争の続いていたフィリピンのミンダナオからも高校生を受け入れています。アチェでは、スマトラ沖地震からの復興の過程で他の文化に触れたことをきっかけに、外の文化にも開かれた空気が生まれたそうです。スクマバンサ学校でも、児童生徒たちが異文化について学べるよう、毎年一名ゲストティーチャーを招いており、わたしはその一員として受け入れていただきました。

そこでは主に、放課後の時間や授業の時間をお借りして、日本語や日本の社会・文化についての紹介をしました。小学校部でドラえもんの歌を一緒に歌うのがどのクラスでも人気だったことは印象に残っています。二月後半には、日本ですでに感染者が出始めていた新型コロナウイルス感染症についての簡単なプレゼンテーションを行いました。また、これらの学校内での活動に加えて、スクマ財団が主催した、クンドゥーリ・クバンサアン(Kenduuri Kebangsaan)というイベントにも参加させていただきました。これは、アチェとインドネシア国家の間に友好的な関係を結ぶことを目的としたもので、アチェ伝統の舞踊、楽器演奏、歌唱の披露や、国家斉唱、スマトラ沖地震から現在までのアチェとインドネシアの歩みを振り返る動画の公開などがおこなわれました。

これらの活動を通じて得た気づきの一つに、他者に寛容であるための自己確立、というものがあります。スクマバンサ学校では、例えば、全校集会でミンダナオからの生徒のためにインドネシア国家だけでなくフィリピン国歌も歌うなど、少数者・他者への配慮や寛容さが顕著だったようにおもいます。こうした組織的な寛容さに加えて、個人間での価値観や文化の違いに対する寛容さも印象的でした。なぜ寛容でいられるのか、気になってたずねてみると、ある教員は、「若い間はイスラム教の考えしか学ばない。けれど、その後に他の考えを学んでいく。若い間にイスラム教の考えを学んでおくことで、他の考えに出会ったときに、それと自分の考えとを相対化して、受け入れられるようになる。」と言っていました。自分の考えや立場を確立させておくことで、他者の考えに寛容でいられるということです。共生社会をめざすうえで、他者との共生のためには他者について知ることが重要だとばかり考えていたのですが、逆に、自分がどのような立場にあるのかを自覚する、自己反省の視点をもつことも重要なのではないか、と考えるようになりました。

(2020年7月16日, 中川)

 
 
 
 
 

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