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活動報告

海外インターン:ニュージーランド


海外インターンシップのご報告です。未来共生プログラムでは3年次に半年ほど様々な国でNGO、NPO、学校の公的組織でインターンとして活動します。瀬戸麗さん[人間科学研究科・博士後期課程2年]はニュージーランドの小学校で活動しました。以下、瀬戸麗さんからです。

一人一人を尊重する教育実践

[写真1]授業風景
[写真2]休み時間に遊ぶ子どもたち

マイノリティの言語や文化が尊重される教育のあり様を学ぶために、ニュージーランドの学校に訪れたいと考えました。ニュージーランドの教育の歴史において必ずしもマイノリティが尊重されてきたわけではありませんが、教育におけるマオリの言語・文化の復興や多文化主義国家への移行を経て、現在のカリキュラムは、マオリ文化とイギリス文化を基盤に、多様性を重視するものとなっています。そのような中でもマオリ・移民教育において先進事例の一つとして注目されているCorinna Schoolにお世話になりました。

Corinna Schoolは北島にある公立の小学校です。全校児童約250名で、マオリ、太平洋諸島、東南アジア、ヨーロッパ等様々なルーツをもつ子どもが在籍しています。子どもたちに「エスニシティは何?」と聞かれ「日本だよ」と答えると、「それだけ?」と驚かれました。問い返すと、3つ4つ答える子が何人もいたのが印象的でした。ボランティアの学習サポーターとして受け入れていただき、算数の授業で困っている子にヒントを出したり、英語で文章を書くことが難しい子の課題を手伝ったりしました。また、休み時間を中心に、日本の遊び(折り紙、けん玉等)を紹介しました。一方、Kapa Haka(マオリの踊り)のレッスンに参加させてもらい、休み時間を一緒に過ごす中で、子どもたちのルーツの言語や歌、踊りを教えてもらいました。そして、放課後には先生方からCorinna Schoolの実践やニュージーランドの教育等について、多くのことを教えていただきました。

最も印象に残ったのは、子どものルーツを可視化し尊重する実践です。例えば、朝の挨拶では”Good morning”だけではなく、子どもに合わせて”Kia ora”(マオリ語)”Talofa”(サモア語)等が用いられていました。また、算数の文章題は全て先生の手作りで、クラスの子どもが主人公、その子のもつ文化が題材にされ、授業中に話が広げられていました。このような取り組みの背景には、マオリの文化や歴史が学校で教えられなかった時代の反省があるそうです。当時、マオリの子どもは、マオリについて語られない歴史を学ぶ等、学校で「大切にされている」という感覚を持てず、離学しやすかったといいます。先生方は、同じことが繰り返されないよう、一人一人が「尊重されている」感覚を持ってほしいと願い、教育のあり方を模索されていました。そして、尊重の仕方はただ単にルーツを強調するのではなく、歴史やそれぞれのエスニシティの価値観、子ども一人一人の育ってきた環境への配慮がとても見られました。Corinna Schoolの実践から、歴史を批判的に学ぶこと、そして、理念だけではなく目の前の子どもの多様性に向き合うことによってこそ一人一人を尊重する教育が成り立つのではないかと考えました。

(2020年7月3日, 瀬戸)

 
 
 
 
 

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