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活動報告

海外インターン:オーストラリア


海外インターンシップのご報告です。未来共生プログラムでは3年次に半年ほど様々な国でNGO、NPO、学校の公的組織でインターンとして活動します。坂場大道さん[言語文化研究科・博士後期課程2年]はオーストラリア・キャンベラにある大学で活動しました。以下、坂場大道さんからです。

多文化社会における「らしさ」を問う

[写真1]英語と中国語での読み聞かせ

オーストラリアの首都キャンベラにある、オーストラリア国立大学を訪れたのは、約4年ぶりでした。本インターンシップでは、交換留学時にお世話になった同大学の教員に連絡を取り、客員研究員として大学に籍を置く運びとなりました。

大学を拠点とすることで、研究活動にも励みながら、大学関係者のネットワークのおかげで、多岐に渡る活動に従事できました。学内では、学会やワークショップの補助に始まり、日本語言語学の授業でのゲストレクチャー、歌舞伎クラブでの活動に携わりました。学外では、ボランティアのイベントや教会でのお手伝いをしました。キャンベラ日本人補習校では、高等部の学生に、言語学の初歩について講義しました。これらの活動に追われているうちに、気づけば帰国の日が目の前に迫っていました。

「共生」という観点から、オーストラリアを再度眺めたとき、私の興味を惹いたのは「オーストラリアらしさ」とは何か、という問いでした。異文化が混じり合う「多文化社会」において、「その国らしさ」を問うことは時折困難です。例えば、「オーストラリア料理」というものは、基本的にありません。強いて言うなれば、バーベキューですが、それは日本でも楽しめます。では、「オーストラリアらしさ」というものは存在しない、のでしょうか。

[写真2]キャンパス内にあった貼り紙

思わぬ「オーストラリアらしさ」を目の当たりにしたのは、二言語以上の環境で育児をする家族間のネットワーク構築を目指す、ACT Bilingual Education Alliance (ACTBEA) でのイベントでした。そこでは、多言語を用いた読み聞かせや、様々な文化のストリートゲームなどが行われました。これらのイベントは時間が設定されず、唐突に始まり、唐突に終わりを迎えます。参加者の子どもへの景品の分配の仕方は、平等とは言えませんでした。行き当たりばったりの展開で、素人の自分からしても、改善の余地が目に見えました。

他方、その状況を「いかにもオーストラリアらしい」と形容したのは、自分を会場に連れていってくださった、在豪歴40年以上の日本人の教授でした。当初は、この表現に違和感のようなものを覚えました。「日本らしさ」といえば、和食というように「らしさ」という言葉からは、同質的なものを想起しがちです。他方、ここでの「オーストラリアらしさ」とは、異質なものが入り混じったものです。上記のイベントにおける状況は、結果として生じてしまっただけではないのでしょうか。

多文化社会は、多様な背景を持つ人々が、それぞれの価値観や慣習を持ち寄って出来上がったものです。上記の「混沌」にも思える状況は、準備不足のみには還元できません。トップダウンに単一のルールを課すのではなく、ボトムアップに互いの共通項を探り合った結果、とも考えられます。ここに、教授は「オーストラリアらしさ」を見出されたのかもしれません。

(2020年6月22日, 坂場)

 
 
 
 
 

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