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活動報告

「福島スタディツアー2019」のご報告


未来共生プログラムでは、これまでフィールドワークを通じて東日本大震災の被災地と関わってきました。今年度は夏に岩手県野田村においてフィールドワークをするとともに、スタディツアーとして2019年11月4日~6日の日程で東日本大震災・福島第一原発事故の被災地に赴きました。以下、中井隆斗さん(人間科学研究科・博士前期課程1年)の報告です。

福島スタディツアー2019~原発事故後を共に生きる

[写真1]富岡町の帰還困難区域との境界
[写真2]避難指示区域内にある双葉中学校の教室

東日本大震災から8年が経過するも、福島第一原発事故の中心である福島県では、被災者の生活再建の見通しは立たず、復興にはまだ長い時間を要しています。しかし、世間の原発事故に対する関心は時間とともに薄れていくばかりです。そこで、福島第一原発事故の被災地の「今」を知り、多様な被災者、避難者の「今」を聴き、原発事故後を共に生きる私たちは、いかにあるべきか考えるためにスタディツアーに参加してきました。

スタディツアーでは、富岡町、いわき市、双葉町への訪問を通して、東京電力廃炉資料館の見学や住民との町歩き、双葉町役場の職員や避難者支援組織であるNPO法人みんぷくのお話を聞きました。資料館では、原子力発電の仕組みから原発事故が発生した経緯まで、詳細に学ぶことができました。また、富岡町の住民からは、行政によって進められる復興に伴い日々変化していく街の様子や違和感、復興が進むことによって生じてきた戸惑いに対する被災者の心境についてお話いただきました。さらに、いわき市在住のお母さんからは、放射能被ばく地である地元で子育てをする葛藤についてお話を伺いました。原発事故による農家の風評被害も深刻でしたが、地元住民の中には身体への影響を懸念している人も居ることが分かりました。特に、子どもへの影響を考えると苦労が絶えない問題だと感じました。最後に、双葉町への訪問では、帰還困難区域の見学をしました。帰還困難区域の中は誰も居らず、現実とは思えないような異様な雰囲気に包まれていました。そして、同じ福島県内でも、地域によって原発事故の被害にはこれ程の差があり、復興の進行に多大な影響を与えていることを実感しました。

今回のスタディツアーを通して、東日本大震災から8年が経ち、復興も終局を迎えているだろうという考えの誤りに気付くことができました。私自身、インフラが整えば人々は元の暮らしを再開することができると、安直な考えを持っていました。しかし、実際に現地へ赴き、被災者方のお話を聞く中で、例えインフラが元通りになったとしても復興したという訳ではないと思いました。復興という言葉を聞くと、目に見える生活基盤の再建ばかりに気を取られてしまいがちですが、被災者に寄り添った復興を考え実行していくことこそが重要ではないかと感じました。また、明確な答えは無いですが、より良い復興について考え、問い続ける必要があると思いました。

(2020年1月15日, 中井)

 
 
 
 
 

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